私がいた警察学校は全国でも1、2を争う厳しさだったそうです。
現場が厳しいので、それに耐えられる人間を育てるためには必要なことでした。
ただ、当時の脱落者は50%近くになり流石に問題だったようで今ではかなり優しくなったと聞いています。
なので、これから入校する方はご安心を。
もう大分うろ覚えですが、そんな警察学校の話をしていこうと思います。
●受験
私は19歳の時、警察の試験を受けました。
「警察官は横柄で偉そう」とあまり評判が良くなかったので、
「それなら私がまともな警察官になろう」と思ったのが試験を受けた動機でした。
ちなみに面接の時も同じことを言いました、バカでした(笑)
試験は筆記、面接、グループディスカッションに分かれていて、筆記試験は一般教科と知能テストみたいな問題に分かれていました。
正直、何の勉強も対策もしていませんでしたが、どういう訳かすんなり合格しました。
離職者が多発した時期だったので合格基準が低くなっていたのかもしれません。
勢いだけで筆記を受けて、面接やグループディスカッションは思った事をべらべら喋っただけです。
今にして思うと、よく受かったなと思います。
合格通知が来た時、「おっ、受かった」と思いながら読んでいくと…2週間後に警察学校に入校することになっていました。
急過ぎて本当に焦りました。
当時はアルバイトをしながら暮らしていたのでバイト先に慌てて辞めることを伝えて、入校準備に必要な物を揃えるためにあちこち駆け回りました。
他には入校の数日前に入校説明会があったので参加したのですが…既にそこから警察学校が始まっていました。
●入校説明会
説明会の日、私の前には長髪のお兄さんがいて説明が始まるまで色々と話をして仲良くなりました。
ところが説明が始まってすぐ、後ろから来た係の人が突然お兄さんの髪を掴み
「てめえ何だその髪は!警察なめてんのか、ぶち殺すぞ!」
後ろで見ていた私は固まりました。
それを皮切りに説明会の途中であるにも関わらずあちこちで罵声が飛びかい始めました。
突然始まる地獄絵図にびっくりして泣き出す者も。
係の人がお兄さんの髪を掴んだまま私の方を見て、
「お前も少し長いな」
と一言。
「切りまぁぁす!」
腹の底から声がでました。
●入校初日
入校の日、長髪のお兄さんの姿はありませんでした。
案内された警察学校の部屋は5人部屋で、人数分の机とベッドがあるだけの部屋でした。
我々の指導にあたる先輩がいて、色々と身の回りの事を教えてくれます。
その日は案内だけで終わる…と思っていました。
甘かったです。
夜、私を含めて20人くらいの同期が教官室の前に呼び出され、担任の助教からめちゃくちゃ怒られました。
理由は、入校案内に保険証を持参と書いていたのですが…
入校案内の下の方にすごく小さい字で
「※保険証はコピーも持参」と書いてあったそうです。
我々はコピーを持参しなかったことで1時間近く怒鳴られることとなりました。
今考えても完全にトラップだと思うのですが、初日から警察学校の洗礼を受けることとなりました。
●最初の挨拶
警察学校では教室の事を「教場」と呼びます。
普段から気を抜けない警察学校ですが、教場にいる間は特にです。
2日目、初めて教場に集合することになりました。
同じ組の40名(既に数名脱落)と教場で待っていると教官と助教が入ってきて…
教官と助教の睨み付けながら恫喝するような挨拶が始まり、全員固まります。
チンピラの怒鳴り散らす感じとは違い、映画のヤクザのようなドスのきいた恫喝でした。
「辞めたい奴はさっさと消えろ」
の言葉で挨拶が終わります。
ここで心が折れた同期もいました。
既に分かってはいたけど、いよいよ「やべえとこに来た」と実感します。
続いて学生の挨拶が始まります。
みんな無難に済ませていくのですが、一人の挨拶が終わる度に教官助教から
「徹底的にやってやるから覚悟しとけよ」
「最後まで生き残れればいいなあ」
などと、ありがたいお言葉を賜ります。
私の挨拶も無難に済ませようとしたのですが…
私は変な奴なので、何気ない発言で意図せず教場に笑いを生んでしまいました。
笑う学生達と焦る私。
挨拶が終わっても何もコメントしない教官と助教。
助教の前を通って自分の席に戻る時、助教がぼそっと
「お前、覚えたからな」
と一言。
「あ、詰んだわ」と思ったのを覚えています。
②へ続く
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