警察を辞める時の話。

警察系記事

私が若い頃、警察官だった時の話です。

警察学校をなんとか卒業した私は地域課所属の交番勤務をしていました。

その頃は警察の不祥事が相次いで市民から向けられる目は厳しく、警察官が帽子を脱いだだけで警察署に苦情が来るほどでした。

交通事故の対応に行けば、「遅い!」「早くしろ!」

空き巣の現場に向かえば「お前らがだらしないからこうなるんだ!」

助けに向かったはずの市民から罵倒される毎日です。

110番通報もバンバン鳴ります。

「となりの家の犬がうるさい、殺処分しろ」

など無茶苦茶な内容も多かったです。

次々と離職者が現れて人手も足りなくなっていきました。

正直、辞めたかったけど辞めると言い出せる状況では無く我慢して働いていました。

そんなある日、配属の交番が変わって新しい巡査部長とペアで仕事をすることになりました。

その部長は見た目は怖いし、ガラが悪いし、すぐ怒鳴るしでとにかくおっかない。

休みどころか睡眠時間すら足りず毎日フラフラになりながら仕事をしている状況でしたが、部長が怖いせいでなんとか気力を保てていました。

部長はガンガン動くので私も負けじと働きます。

でも、やはり限界が来てしまいます。

現場で数人のサラリーマンから「税金泥棒」と指をさされて笑われた時、心が折れてしまいました。

それからは気を抜くと涙をポロポロとこぼすようになっていました。

周りからも心配されるようになり、

「大丈夫か?」

と声をかけられるようになりました。

今考えると全然大丈夫な状況ではなかったんですが、当時の私は人に頼ることが出来なくて決まり文句のように

「大丈夫です」

と答えていました。

そんな中、勤務日の仮眠時間のこと。

布団に入っている時、部長に

「辛いか?」

と初めて優しい口調で聞かれました。

「はい」

とその時は素直に答えられました。

「警察官辞めたいか?」

「はい」

「分かった」

会話はそこで終わりました。

それからは退職の手続きがどんどん進んで、私がポカーンとしている間に退職日を迎えました。

交番に行って部長に最後の挨拶をしたら、

「餞別だ」

と言って何故か大量のカップ麺を渡されました。

「今までお世話になりました」

電車の中で45Lのゴミ袋にパンパンに詰まったカップ麺を抱えながら、それまでの事を思い返します。

あの時、部長が声をかけてくれなかったら私は壊れていたと思います。

もしかしたら部長は声をかけるタイミングを測っていたのかもしれません。

「部長って優しい人だったんだな」と気づいて、電車の中で泣きそうなのをずっと我慢していました。

自分にとっては結構恥ずかしい話で、今まで人に話した事はありませんでした。

ただ、私が弱っている人に優しくしようと思ったきっかけでもあり、良い機会なので吐き出してみました。

コメント

Copied title and URL