思考のクレバス

哲学系記事

クレバスとは氷河などの巨大な裂け目です。

そこに落ちると身動きが制限され、特定の方向にしか動けなくなります。

柔軟な考えを失い、偏った思考に囚われた状態を私は「思考のクレバス」と呼んでいます。

氷河の裂け目の中にいるように、広い視点で物が見れなくなり、表か裏かみたいに極端な結論しか出せなくなります。

何より、思考のクレバスに陥った人は自力では気付き難いものです。

今回は、そんな偏った思考について話していこうと思います。

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思考の指向性

人は思考する時、指向性があると楽に考えられます。

例えば

「東京から名古屋に行く方法」

「東京から名古屋に電車で行く方法」

この2つだと後者の方が手段を限定されている分、考えるのが楽になります。

柔軟に考えることはエネルギーを使うので、慣れないと指向性を持って考えがちです。

それは考えるのが楽になる分、前提が間違っているとトコトン変な方向に行ってしまいます。

何かを始めようとする時「習う」ということを前提に考える人は多いです。

最近だとyoutuberになるのに専門学校に通うという人も出てきました。

しかし、ある程度売れてるyoutuberにyoutube専門学校の出身者はいません。

まず必要なのは独創性だったり、キャラクター性だったり、ブランド力です。

面白いかどうか、見たいと思われるかどうかが大事ですから。

それらは専門学校のカリキュラムで身に付くものでしょうか?

むしろ思考停止して講師の言うことに従ってきた人に面白い動画を作れるとは思えません。

役所の仕事みたいに手順が決まったことなら「習う」ことに意味があります。

しかし、自由な発想で勝負する世界では大して意味が無く、逆にマイナスになることすらあります。

これは「習う」という指向性の例ですね。

このように物事の前提が間違ったまま考えているケースは多いです。

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二極化

思考のクレバスでよくあるのが二極化です。

良いか悪いか、善か悪かみたいに極端に分けて考えることを言います。

「法律に従うことが正しい」

まあ罰則がありますし、法律に従うのは普通のことです。

しかし、法律も万能ではなく頻繁に改正されています。

それは法律が、必ずしも正しいとは言えないことを表しています。

人の内には善悪の両方が備わっており、極端な善人や露骨な悪人はまず存在しません。

クリーンなイメージの芸能人が不祥事を起こすのは良くあることですし、東日本大震災の時は反社会組織の人達が支援活動を行っていました。

人間関係の中でも、自分にとってのパワハラ上司が他人によっては良い上司だったりします。

パワハラ上司は承認欲求や自尊心、不安が関係しているので、それらが無かったら普通の人…というのもよくあることです。

逆に一般的なサイコパスは、悪意を持ちながらも普段は善人として振る舞います。

物事は複雑で、幾重にも重なった要因から事が起きています。

賢い人はそれを知っているので、安易に二極化することはありません。

物事をシンプルに捉えて思考を楽にすると、気付けないことが多くなるからです。

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陰謀論

私は陰謀論と切って捨てるのを良しとはしません。

柔軟に考えるなら陰謀論も検証に値するからです。

しかし、同時に陰謀論は思考のクレバスに陥りやすいものでもあります。

例え話です。

川の村と海の村があり、その中間に都がありました。

川の村は川魚を、海の村は海魚を都に売りに来ていました。

ある日、土砂崩れで川の魚が取れなくなります。

川魚が減った分、都では海魚が売れて海の村は儲かりました。

川の村の一部の人々は、こう考えます。

「土砂崩れは海の村の連中のしわざに違いない」

…これが陰謀論の始まりです。

海の村が儲かったのは偶然です。

しかし…

土砂崩れで川魚が減る

都では川の村からの魚の供給が減る

海の村が儲る

という流れを見ると、海の村の人々が土砂崩れを起こしたと勘ぐっても辻褄が合います。

こうして陰謀論が生まれるわけです。

よく知らない人間や組織は陰謀論に組み込まれやすいです。

例えば、フリーメイソン。

我々はフリーメイソンについて噂程度にしか知りません。

謎が多いと何かをしてそうに感じるもので、世界中の災害や事件はフリーメイソンの陰謀にされがちです。

我々にとってのフリーメイソンは、川の村の人達から見た海の村ですね。

私が陰謀論に陥らない理由は…人間はそんなに頭が良くないというのを知っているからです。

私利私欲のために大事件や災害を起こすような強大な集団があったら、統率も取れず、下手をすればマトモに機能しません。

私利私欲を制御出来ない人間は、合理性に欠ける場合が多いです。

その人達に世界を巻き込むレベルの、複雑な陰謀を張り巡らせるのは無理でしょう。

世の中がアインシュタインだらけなら分かりますが、世の中の98%は普通の人です。

そして、残りの2%が秘密の組織にいるのかと言えばそうでもありません。

金持ちや権力者の家に天才が生まれるわけではありませんから。

陰謀論を唱える人は、基本的に人間を過信しすぎています。

世の中を悪くしているのは、裏で手を引く巨悪がいるからだ…というクレバスに陥ってしまうわけです。

確かに私利私欲で動く権力者はいるでしょう。

近年の環境問題とかは不自然ですしね。

ただ、陰謀論者が考えるほど強大でも悪逆でもなく、事実は案外ショボイ話ではないかなと考えています。

まあ、それも思考のクレバスなのかも知れませんが(笑)

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