元自衛隊広報官が考える入隊プラン

自衛隊系記事
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広報官時代、入隊希望者には今後の人生を見据えて入隊プランを提示してきました。

広報官が扱っている商品は浄水器や布団みたいなものではなく「自衛官になること」です。

入隊者の人生に関わることなので、闇雲に入隊させれば良いというわけでもない。

無理に入隊させて、貴重な新卒カードを消費させるわけにもいかない。

だから、入隊した後の身の振りが必要になるし、そもそも入隊しないという選択もあるわけです。

自衛隊の上層部は一人でも多く入隊させたがるので、広報官にはガンガン圧をかけてきますが…

「おめーらが組織を改善しねーから人が減ってんだよ、ボケナスが」

と思っていたので、無視していました。

広報官でデメリットやリスクまで語る人はなかなかいません。

広報官に悪意があるわけではなくて、それだけ上からの圧がキツイんですよ。

だから、今回の記事は現役の広報官に見られたら恨まれるかもしれません(笑)

私は自衛隊の中では異端な存在でしたし、自衛隊側からすると警戒対象ですので場合によってはこの記事は消すかもしれません。

入隊区分

自衛隊には入隊区分がいくつか分かれています。

●自衛官候補生

陸は2年、空・海は3年を1任期とする、任期制隊員になる入隊区分です。

1任期が終わるごとに任期満了手当が貰えます。

1任期目は、陸は60万円、空・海は90万円、2任期継続すると更に高額になります。

曹への昇進は試験に合格すると可能になります。

部隊によって、自衛官候補生から曹に上がれないこともあります。

ただ、その場合は後述する一般曹候補生試験を部内で受けらますし、難易度はそんなに高くありません。

選択肢を広く取れる区分です。

●一般曹候補生

自衛官候補生と違って、入隊後から曹への昇進が決まっている入隊区分です。

一般曹候補生全体で共通の試験を行い、優良者から曹へ昇進します。

成績が良いと自衛官候補生より早く曹になれます。

しかし、成績が悪いと昇進まで8年くらいかかるとされています。

自衛官候補生と違って任期満了金はなく、途中で辞めても僅かばかりの退職金があるだけです。

空で曹を目指すならほぼ必須ですが、難易度のわりにメリットが少ない制度です。

●航空学生

空・海のパイロットを育成する入隊区分です。

戦闘機やヘリのパイロットは、この区分でしかなれません。

難関大学に合格出来るレベルの学力に加えて、身体検査も他の区分より遥かに厳しい。

口の中の大きさなど、本人ではどうにもならないものもあります。

年齢も満20歳までしか受けられず、他の採用区分とは別次元の難易度です。

その分、パイロットになりさえすれば自衛隊ではトップクラスの高給取りで、一流企業の総合職並の給料が貰えます。

陸のヘリコプターのパイロットにはなれず、陸の場合は部内試験になり、3曹以上で26歳未満が受験出来ます。

●一般幹部候補生

大卒のみ受験可能な幹部自衛官になる採用区分です。

難易度はそこそこ高いです。

昇進可能な階級は2佐ぐらいが限界で、1尉ぐらいで終わる人が多いです。

給料は佐官にまで昇進しなければ一般隊員とそんなに変わりません。

●防衛大学

自衛隊幹部を育成する大学で、入学難易度は極めて高いです。

途中で脱落する人も多く、卒業後は任官しない人もいます。

無事卒業して幹部になれば出世の道が開かれます。

成績が良ければ1佐以上へもたどり着くことが出来て、1佐なら年収は1000万を越えます。

月10万円程度の手当が支給されますが、日々の訓練や厳しい生活の対価としては微妙です。

自衛隊で出世を目指すなら必須のルートです。

●防衛医科大学

自衛隊の医師を目指すコースと看護士を目指すコースがあります。

医師は合格者が極めて少なく、最難関の入隊区分です。

看護は看護で難しく、有名大学に合格出来るレベルの学力が必要です。

手当を貰いながら医師免許や看護の免許が取得出来ますが、成績が悪いと卒業出来ず免許も取得出来ない場合があります。

卒業後は自衛隊病院や各駐屯地の医療従事者として働きます。

確か…7年くらい働かないと民間に転職出来ないという制限がつきます。

自衛隊の医療従事者は離職率が低く、民間よりは低いですが給料も良い。

他の医療系大学と比べて学費もかからないので、人気の区分です。

●他の区分

他には高等工科学校や技官などのコースもありますが、ここでは説明を省きます。

オススメの入隊区分

個人的にオススメの入隊区分は

●自衛官候補生
●航空学生
●防衛医科大学

の3つです。

どうしても上級幹部になりたいという人なら防衛大学も含まれます。

自衛官候補生は幹部や曹になるにも民間に転職するにも選択肢が広く取れますし、任期満了金の存在はとにかくデカイ。

大学や専門学校に行けなかった人は、ここで貯金を作って通うという手もあります。

部隊配属後の給料は一般曹候補生と同じです。

そもそも自衛官候補生も一般曹候補生も定年まで続ける可能性は低いので、任期満了金を受け取れる方が圧倒的に得です。

航空学生をオススメする理由は、自衛隊のパイロットは勝ち組であることと、飛行免許が取得出来るという点につきます。

途中で脱落する可能性はありますが、民間大学に入り直せばキャリアには大して傷がつきません。

飛行免許さえ取得出来れば自衛隊が嫌になっても民間のパイロットとして転職出来るため、挑戦する価値のある区分です。

防衛医科大学をオススメする理由も航空学生と似たようなものです。

取得するために莫大な費用がかかる医療系の免許をタダで取得出来ることと、自衛隊の医療従事者は民間に比べてホワイトな労働環境にあるからです。

入学と卒業の難易度は高いですが、医療系を目指すなら圧倒的にコストパフォーマンスが良く、リターンも大きい入隊区分です。

防衛大学に入隊する場合は相当な覚悟を持つ必要があります。

厳しさは普通の大学とは雲泥の差で、ほぼ自衛隊に入隊したようなものです。

大学生活は理不尽も多いですが、途中で脱落すると何も残らないので気合と根性で乗り切る必要があります。

卒業して幹部になっても若手幹部の離職率と鬱病になる可能性は高いので、メリットよりリスクの方が上回ります。

そこまで自衛隊幹部に思い入れがないなら、無理に防大に入らず有名大学を目指した方が良いです。

自衛隊幹部になるより大企業の総合職になった方が給料面も身に付くスキルも圧倒的に有利です。

せっかくの高い学力なので、良く考えて選択すべきです。

一般隊員のキャリアプラン

これは高卒やFラン大卒向けの話です。

ある程度の大学を卒業したなら、そもそも自衛隊に入るという選択が間違ってます。

学歴と新卒カードをドブに捨てるようなものですから。

金銭に余裕が無くて進学出来ないとか、家族から離れたいという人には逆にオススメです。

また、自衛隊で何がしたいかハッキリ決まっているなら特に言うことはありません。

「戦車に乗りたい」

という人なら機甲科一択ですし。

希望職種、または第二・第三希望職種が決まっていない人向けに話します。

受験の時点で陸・海・空を選択することになります。

「自衛隊なら陸でしょ」

というノリで陸に決める人が多く、正直なところ私もそうでした。

しかし、生活環境なら空の方が良いし、給料なら海の方が良いです。

また、陸に入って戦闘職種を選ぶと、いざ自衛隊を辞めようとした時に死ぬほど苦労します。

自衛隊ならではの仕事を選ぶという事は、自衛隊でしか通用しないスキルばかり身に付くということです。

定年まで勤めるならそれでも構いませんが…

自衛隊の労働環境は年々悪くなっています。

余計な仕事が増えて休みは減り続け、生涯年収も下がり続けています。

給料は一時的に上がりましたが、退職金はメキメキ下がっていて今後も下がることは確定しています。

今、入隊した人が退職金を貰う頃には1000万円程度になっているかもしれません。

ボーナスは夏・冬を合わせて4ヶ月分支給されますが、今後無くならない保証はありません。

また、残業代が存在せず、ほとんどの手当は二束三文なので、特別勤務についたり残業するほど損です。

私が3等陸曹の一番忙しかった時に残業時間を含めて給料を計算したら、時給換算で500円くらいでした。

なので、入隊の時点では定年まで勤める気でいても、途中から転職出来るようにしておいた方が安全なわけです。

現役隊員でも、自衛隊でしか生きられなくなり、辞めたくても辞められない状況にある人も多いです。

私も転職する時、広報官をやっていなかったら相当厳しかったと思います。

戦闘職種に10年もいれば、一般社会では居場所がなくなります。

一般企業の仕事と関係する職種を選んだ方が転職しやすい。

陸なら後方職種、空なら電気工事やボイラー、海なら給養や会計など、一般社会でも通用する職種は役に立ちます。

個人的にオススメのプランとしては

・海の艦船乗務員の会計職種

・在職中に簿記2級や会計関係の資格を取得

・1任期で退職

これなら比較的高い給料で任期満了金90万を貰えるので貯蓄が増えます。

会計のスキルは民間でも使えますし、公務員で会計をやっていた経験はなかなか強いです。

資格と合わせれば、そこそこの企業に経理や会計として入れます。

戦闘職種ならキャリアはそこで詰んでしまいますが、このプランならキャリアアップを重ねていけば自衛隊より遥かに高い給料を貰うことも可能です。

電気工事やボイラーや給養も、同じように資格を取得しながら転職先を探せば、そこそこ良い条件で転職出来ます。

何もしないで援護課に丸投げしてしまうと詰みます。

第二新卒としてチャンスを掴めるかどうかは自分次第です。

また、戦闘職種に入るなら世の中の色々な情報を集めたり、汎用的に使える語学などのスキルを身に付けましょう。

何もしないで社会から隔離されたままだと、社会に出た時はニートと変わらない状態です。

自衛隊にいると全く意識出来ないものですが、環境が特殊過ぎるので社会経験は積めません。

名刺の渡し方すら知らないオッサンが腐るほどいます。

長くいるほど一般人との接し方や距離感の取り方も下手になります。

辞めたくなった時、休みの日は営内でゲームばかりやってたり、パチンコや居酒屋に行くだけの生活を送っていると…マジで詰みます。

世の中がどうなっているのか、社会では何が求められているのか、情報収集は欠かせません。

趣味の幅を広げて、一般人と接する機会を多く取らないと感覚はズレていきます。

自衛隊は社会不適合者の集まりと言われたりしますが、あながち間違いではないんですよ。

入隊してみて自分に合うなら定年まで勤めるのもアリです。

しかし、そうでないなら実務経験が積める専門学校変わりに上手く使いましょう。

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