群衆に悪は見抜けない

哲学系記事
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正義の立場から悪を裁くこと、これを好むのは人の性質です。

公正世界仮説から来る安心感、他者を悪として下に見ることの優越感、正義の立場から来る自己肯定感などが得られるからです。

しかし、世の中の善悪は極めて複雑です。

絶対の正義なんてものは人類がまだ辿り着いていない領域で、今の状態で正義を名乗るのは詭弁に過ぎません。

また、ヒーロー番組のように分かりやすい悪党なんて現実には存在しません。

悪を見抜くのは相当に難しく、簡単なことではない。

今回は、こんな感じの話です。

正義を騙る

絶対の正義を体現することは現時点で不可能なので、人は自分の正義に従って行動しています。

自分の正義は人によって千差万別で、何が正しく何が間違っているのかの判断は人によって異なります。

私自身も自分の正義を持っていますが、1人の人間が持つ正義は不完全なものです。

そのため、他者の正義とぶつかることでアップデートをしながら研ぎ澄まし続けています。

それは一生をかけても辿り着けないであろう絶対の正義に少しでも近づくためです。

世の中には自分の正義をアップデートしない人もいますが、それは自分の間違いを認められない場合が多い。

言ってしまえば自分が間違っていると都合が悪い人達ですね。

その人の正義はそこで行き止まりで、誰かの正義によって淘汰されるばかりです。

何にせよ自分の正義を持つためには、様々なことを学びながら考る必要があります。

その結果、自分で善悪が判断出来るようになる。

しかし、これは万人がやっているわけではなく、自分の正義を持つ人は少数派です。

大多数の人間は善悪の判断を他人に委ねます。

自分の正義を持ち、アップデートし続けることは慣れない人には大変なことです。

だから投げ出す人が多いのは仕方ないことなんですよ。

しかし、そんな人でも正義の側に立ちたがります。

誰かが善悪を判断して「あいつは悪い奴だ!」と悪党を名指しする。

これに同調して悪党を叩くわけです。

これならどんな愚者でも出来ますから。

しかし、誰かを悪党に仕立てあげて民衆を扇動する手法は…主に悪党が使います。

思考停止するほど主張の矛盾や問題点に気が付かず、盲目的に他者を攻撃するものです。

正義を気取りながら悪党の味方をするという、皮肉な事態に陥るわけです。

片側寄りの判断

最近、あるタレントが大人二人と子供二人で有名ラーメン店に行き、食事をしていたそうです。

そこは常に行列が出来ているラーメン店で、タレント自身も15分待って席についた。

子供と一緒だったので30分経っても食事が終わらず

「遅えよ!」「早くしろ」

と並んでいる客から言われてしまいます。

店員にも退店を促され、食事の途中であるにも関わらず立ち去ることになってしまいました。

「ヒドイよね」という話です。

…この話は賛否両論でしたが、タレントに賛同する意見の方が多かったそうです。

さて、皆さんはどう思いますか?



このブログを機に「店側がヒドイ」と意見が寄せられ、ラーメン店は監視カメラの映像を元に声明を出しました。

・実際には40分いた
・箸やレンゲなどは丼に重ねられていた
・子供はソファで遊んでいた
・大人二人は談笑していた
・もう1人の大人はマスクをしていた
・以上の状況から食べ終わったと判断した

と述べた上で、タレントが食べていると気付かずにスタッフが失礼しました…という内容です。

この声明を機に店側に賛同する意見が多くなります。

さて、皆さんはどう思いますか?



タレント側の情報を聞いた後と店側の情報を聞いた後で判断が変わった人もいるのではないでしょうか?

情報の精査における基本中の基本は、片側の意見だけで判断しないということです。

しかし、それをやらない人も多い。

自分に都合良く事実を曲げたり情報を断片的に伝えたりするのは、世の中ではよくあることです。

まあ、人間なんてそんなものです。

だからこそ片側の主張を鵜呑みにしてはいけないわけです。

このラーメン店の顛末は可愛いものですが…

日本は事実をありのまま報道するメディアがほぼ存在しないという問題があります。

それぞれのメディアが自分に都合良く報道するので事実が分かりにくくなっています。

例えば新聞なら…極端に右寄りな産経と極端に左寄りな朝日では言っていることが真逆です。

片側の意見だけでは正しい判断を出来ないので、意見を聞く時は疑う必要があるわけです。

ただ、人間は完全な中立になることは出来ません。

私自身も右寄りな人間ですし、仲間と敵なら仲間側に味方します。

それでも左翼の主張を聞かずに一蹴することはないですし、敵の意見を一方的に全否定することもありません。

片側の意見だけを聞き、片側の主張のみ支持する。

この手の人間に正しいと思える人はいないからです。

レミング

日本は憲法9条にある通り「平和主義」の国です。

近年、この憲法を変えようとする意見があって賛否分かれています。

ちなみに私は改憲に賛成派です。

憲法は時代によって変わるもので、他国は普通に改憲しています。

例えば元寇の時代に憲法9条があったら、モンゴル帝国が侵略してきた時に無抵抗で侵略されることになります。

比較的平和な近現代だったからこその憲法なわけです。

そもそも平和主義は日本だけの話ではありません。

憲法9条は国連憲章の平和主義を遵守するというものなので、国連加盟国は全て似たようなものです。

しかし、日本以外の国は守っておらず日本だけが守っている状態です。

日本が戦争をしないと言っても他国は攻めて来るんですよ。

日本に海底資源があるという情報が流れた瞬間、竹島や尖閣諸島が占領されたぐらいですから。

お隣の中国はウイグル自治区で虐殺を行ってますし。

日本は専守防衛を主張しているので攻められたら反撃は出来ます。

しかし、最初の一撃は食らうことになります。

その最初の一撃が核兵器だったら終わりですね。

だから、今の時代に合わせて改憲は必要だと考えています。

話は変わって、街中で「改憲反対」「守ろう憲法9条」と横断幕を掲げている人達に話を聞いたことがあります。

ソクラテスの真似です(笑)

私の改憲に対する考えを話すとキレるか黙るかで、誰一人として答えられる人はいませんでした。

市議会議員の立候補者が改憲に反対していたので、演説が終わった後に話を聞いたこともあります。

最初こそ快く話してくれたのですが…話をするうちに返答が無くなり、答えないまま去っていきました。

さて、何が言いたいかというと…ほとんどの人がよく考えていないんですよ。

「周りが正しいと言っているから正しい」

ただそれだけなんです。

世の中には意図的にデマを流して扇動する人がいるので、大勢が主張することが正しい訳ではありません。

思考停止して間違った方向に突き進む姿は、レミングの死の行進のようだと思っています。

周りの勢いに乗っかるのではなく、自分の正義によって立ち止まる。

それが自分を救います。

世の中の悪党は自らを悪党とは名乗らず、マトモなフリをしてマトモな人として評価されます。

逆に悪党がマトモな人を非難して悪党呼ばわりすることも往々にしてあります。

しかし、集団に混じっていたら気付くことはありません。

群衆に悪は見抜けないわけです。

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