「雑記」ヴァイキングの世界

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ローズマリー・サトクリフという作家の歴史小説が好きで、昔からよく読んでいました。

サトクリフはイギリスの歴史をメインに書いていますが、ヴァイキングをテーマにした作品も多く残しています。

小説をキッカケにヴァイキングについて知ることになったのですが、まあ…これが面白い。

価値観が正しいかどうかは別として、かなり独特です。

そもそも文献があまり存在しないうえに色々な資料で食い違いもあるので、私の知識も正確とは言えませんが…

そんなヴァイキングの世界について話していこうと思います。

ヴァイキングとは

9世紀頃、ヨーロッパの北側…北欧に現れた海上での活動を得意とする集団がヴァイキングです。

彼らは自分の土地で農業や猟に勤しむだけでなく、交易をしたり略奪行為を行っていました。

略奪が悪という概念が無く、出稼ぎのような感覚だったそうです。

ヴァイキングの名の由来は、古い時代のノルド語で「フィヨルドから来たもの」という意味です。

フィヨルドとは北海に見られる複雑な入江のことです。

ヴァイキングは卓越した造船技術と航海技術を持っていて、それらを駆使して北海の荒波を越えていました。

「クリンカー作り」と呼ばれる彼らの船は、オークと呼ばれる耐久性の高い木材を鎧のように重ねて作られているため頑丈です。

軽く、速く、少人数で操作が出来て、大型化も容易であったため、当時の船としては高性能なものでした。

彼らの繁栄を支えた要因の一つです。

彼らはゲルマン人の末裔なのですが…このゲルマン系はめちゃくちゃ強い民族なんですよ。

現在の北欧系の祖先ですね。

かつて大帝国を築いたローマが恐れていたのがゲルマン人です。

5世紀頃のブリテン島(現イギリス)はローマ帝国が統治していたのですが、ゲルマン系民族の度重なる攻撃によってローマ軍はブリテン島から撤退してしまいました。

この辺の顛末が御伽話となり、かの有名なアーサー王伝説の原型とされています。

余談ですが、サトクリフの「ともしびをかかげて」という小説ではローマ軍とゲルマン系民族の戦いが描かれていて、アーサー王のモデルとされた人物が登場しています。

少々脱線しましたが…ゲルマン人の末裔であるヴァイキングも非常に強い集団で、近隣の村々からは畏怖の対象だったそうです。

ヴァイキングは意外にも信仰心が強く、北欧神話としてまとめられている神々を崇拝していました。

主神オーディンや雷神トールなど、主に崇拝する神にはバラツキがあり、約束事の際には

「オーディンの名にかけて誓う」

など、神々の名前を出すことが信用の証にもなっていたようです。

人の名前も少し独特です。

例えば、サトクリフの小説「剣の歌」に登場する主人公の名前は「ビャルニ・シグルドソン」です。

ビャルニは固有の名前ですが、シグルドソンは「シグルドの子」という意味です。

つまり「シグルドの子ビャルニ」という表現ですね。

神々と同様に親の名前も約束の際に使われていたようですが、この辺の機微は勉強不足でよく分かりません。

ヴァイキングの戦士

ヴァイキングにとって戦いは名誉ある仕事とされています。

強い者が奪う、弱い者は奪われるという弱肉強食の中に生きていて、粗野で乱暴で残虐な戦士でした。

しかし、戦いや死に対して非常にさっぱりした価値観を持っています。

北欧神話の中に「ヴァルハラ」と呼ばれる館が登場します。

勇敢に戦って死んだ者はヴァルハラに迎え入れられ、戦士として神々の戦いに備えると信じられていたそうです。

だから現実世界での殺し合いに善悪という概念は無く、敵も味方も死んだ後はヴァルハラで再会出来る。

戦士達はヴァルハラに行く事を誉れとし、ヴァルハラに行けない事を恐れたそうです。

ただでさえ強いゲルマン人で…死ぬ事を恐れない勇猛な戦士。

地上でも強いのに、海戦になると戦うどころか逃げる事すら難しい。

ヴァイキング以外の敵からすれば悪夢みたいな存在ですね。

ヴァイキングは出身地ごとに戦闘集団を作り、苦楽を共にします。

盾の輪または盾の兄弟と呼ばれる強固な絆も強さの秘訣でした。

この辺はサトクリフの「シールドリング」という小説によく描かれています。

ヴァイキングは味方に対しては慈悲のある集団ですが、敵に対しては容赦なく虐殺していきます。

反面、自分達が殺される時も潔く死んでいきます。

死生観ぶっとんでますね。

彼らは剣と丸い盾、鎖をつなげた鎧や鉄兜で武装していました。

手斧や槍も多用していて、一般的な戦術として投擲が行われていたそうです。

角の生えた兜を被っているイメージがある人もいると思いますが、それは後世の創作によるものです。

中世騎士の甲冑は儀礼的な意味が強く装飾が多いですが、ヴァイキングの装備はひたすら実用性重視。

戦いの名誉は重んじつつも儀礼的な名誉を重んじてはいなかったようです。

ヴァイキングの戦法は非常にシンプルで、あらゆる場所に船で到来し嵐のように襲いかかります。

陣を構えた相手には集団で突っ込み、乱戦に持ち込む。

勇猛さを通りこして災害みたいな連中です(笑)

北欧神話にはベルセルク(熊のシャツ)と呼ばれる戦士が登場します。

英語だとバーサーカー、日本語だと狂戦士ですね。

熊の毛皮を被り、切られても刺されても意に介さず、我を忘れて味方にすら襲いかかる獰猛な戦士です。

完全に架空の存在というわけでもないらしく、ノルウェー王ハーラル1世の親衛隊がベルセルクだったという記述も残っています。

古い時代の北欧では幻覚や興奮状態を起こす薬物による暗示も行われていたそうなので、ベルセルクが存在していても不思議ではないと思ってます。

敵にベルセルクがいたら本気で嫌ですね。

ヴァイキングの世界観は現代に比べると神話が身近で、戦いと死がカジュアルです。

ヴィンランドへの冒険

戦士のイメージが強く、様々な創作に影響を与えたヴァイキングですが、冒険家としての側面も持っていました。

冒険家として有名なヴァイキングが「レイフ・エリクソン」です。

レイフはグリーンランドを発見した赤毛のエイリークの息子で、遥か西への探検航海に出た人物です。

西暦にして1000年頃、遥か西への探検航海の果てに「岩の国=ヘルランド」や「ブドウの国=ヴィンランド」を発見します。

この岩の国というのは現在で言うところのカナダのバフィン島、ブドウの国はニューファンドランド島あたりだとされています。

驚くことに、コロンブスの500年前にはアメリカ大陸に到達していたんですよ。

ヴァイキングの造船技術や航海技術の凄さが分かるエピソードですね。

その後もレイフは何度もアメリカに渡っていて、ある時「ソルフィン・カルルセヴニ・ソルザルソン」という人物と共に大規模な移住を果たし、植民地を建設しました。

ソルフィンのミドルネームであるカルルセヴニは「芯からの男」みたいな意味のアダ名で、非常に男らしい人物であったと推測されます。

漫画家の幸村誠氏が描く「ヴィンランドサガ」の主人公がこのソルフィンで、作中では「トルフィン・トールズソン」とスペルの読み方が解釈されています。

ヴァイキングによるヴィンランドへの移住の物語をまとめて「ヴィンランドサガ」と呼び…

その立役者の一人であるソルフィンの物語が幸村誠氏の「ヴィンランドサガ」なわけです。

幸村誠氏のヴィンランドサガは、ヴァイキングの世界観が上手く表現されていてスゲー面白いのでオススメです。

ヴァイキングの世界は歴史学的にも不明な点が多く、多くの謎が残っています。

ソルフィンやレイフの作った植民地の場所もハッキリとは分かっていないぐらいです。

個人的に研究が進むことを楽しみにしています。

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