子供の助けとなる大人が必要

哲学系記事
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私は若い人や子供に対して甘く、それは自他共に認める事です。

別に子供を純粋だとかは思っていませんし、精神が自立した人間と比べたら性格は悪いものだと考えています。

誰しも生まれた時は獣と変わらず、様々な経験をして成長していきます。

その中で善性を身につけていく…つまり性悪説ですね。

人間性をスキルの一つだとするなら、長く生きている方が上達するのは当たり前です。

だから、若者が私のような30半ばのオッサンと同じ人間性を有していなかったとしても不思議な事ではありません。

むしろ、自分の年齢を棚に上げて「若い奴は駄目だ」と言うのはクソダセーと思っています。

逆に子供や若者に対して、正しく物事を教えられる大人がどれだけいるでしょうか?

マトモな大人が少なければ、子供もマトモに育たなくなります。

今回は、そんな感じの話です。

1 凶悪事件

2000年5月3日、九州自動車道で17歳の少年によるバスジャック事件が発生。

「西鉄バスジャック事件」と呼ばれたこの事件では、死者1名と重軽傷者数名を出す結果となりました。

恐ろしい事に、犯人の少年は自分の意に沿わなかった乗客を躊躇なく刃物で襲っています。

それも首や胴体などの急所をです。

要するに人を殺す事に抵抗が無いんですよ。

普通の人間は、人どころか生き物を殺すにも躊躇するものです。

それは倫理観や道徳、良心や正義感などの人間性が育っているからです。

犯人の少年にはそれが欠けていました。

この話を聞くと「家庭環境が悪かったのでは?」と考える人もいると思いますが、実はそうとは言えません。

少年の両親は比較的マトモな人だったらしく、話を聞く限りは少年に対して献身的でした。

では何故、少年が歪んでしまったのか?

少年は中学3年までは成績も良い普通の生徒でした。

そこで、イジメに遭います。

イジメによって大ケガを負うような事もあり、高校入試も入院先で受けるような状況だったそうです。

少年の家族は学校に相談していたそうですが、学校側はイジメを認めず何も対応をしませんでした。

高校へ進学したものの、9日だけ通って退学してしまいます。

既にこの時点で少年は歪んでしまっていたようで、家庭内暴力を振るうようになっていました。

外部からのストレスを自分で処理出来ないと自分より弱い者にぶつけてしまいます。

少年の妹が特に被害を受けていたようです。

家族は警察や精神病院に相談するも、当初は相手にしてもらえず途方に暮れます。

少年はこの頃からネット掲示板「2ちゃんねる」に依存していきました。

知ってる人は知ってると思いますが、「2ちゃんねる」は面白い部分と闇の部分があって. . . 荒れる時は死ぬほど荒れます。

ネット上で好ましくない振る舞いをしていた
少年は、非難される事に逆上して執着するようになる。

元々あった歪みがここで大きくなったのかなと考えています。

昔、掲示板で少年の書き込みを見た事がありますが、その時点で既にマトモとは言えない状態でしたね。

そんな中、少年を受け入れてくれる病院が見つかって入院する事になりました。

少年は病院では礼儀正しく、とても問題があるような子供には見えなかったそうです。

しかし、老夫婦を殺害した高校生を褒め称える手記を残すような精神状態でした。

「自分もそうなりたい」

というような感想が書かれています。

その手記の存在を知らなかった医師は仮退院の許可を出します。

仮退院した少年は自分が通っていた中学校に復讐しようとしますが、連休だったためにバスジャック事件を起こしました。

復讐は二の次で、主となる目的は凶悪事件を起こす事だったようです。

2 マトモな大人と子供の歪み

精神が成熟する前の人間は様々な影響を受けやすいものです。

その様々な影響は価値観の形成と人間性の成長を促します。

しかし、それと同時に人格が歪みやすくもあり、悪にも傾きやすいものです。

少年の場合、イジメ、大人の汚さ、誹謗中傷など…歪むには十分な要素に触れていました。

悪意を受け過ぎたわけです。

若い内に悪意を受けすぎると、世の中はそういうものだと思うようになります。

特に子供の世界は残酷で理不尽ですからね。

生きていればどうしても歪みが生まれるから、それを正せる人間が必要です。

だから、子供にはマトモな大人と接する事が必要なんですよ。

人として正しい価値観は、誰かから学ばなければ身に付かないものですから。

おそらく、前述のバスジャック事件の少年はマトモな大人に出会えなかったのでしょう。

自分より強く、賢く、人として正しい価値観を持つ大人との出会いが必要だったのだと思います。

家族は親身に接していましたが、少年は家族を自分より弱い存在として認識していたから話を聞かなかった。

精神病院のスタッフは少年の心の内を見抜く事が出来なかった。

学校側の人間は保身に走り、少年を失望させる存在だった。

だから、誰も少年の歪みを止められなかったというわけです。

心の歪みを正せる大人って少ないんですよ。

私は運良く出会ってきましたが、逆に言えば運が良かったと思えるぐらいに少ない。

子供という存在についてよく理解していない人も多いように感じます。

例えば、子供を自分よりアホだと思っている大人が多いのですが…

大人の目を欺く方法なんて、子供は当たり前のように備えています。

語彙力が無いだけで思考力が優れていたり、大人顔負けの洞察力を持っている子供も普通にいます。

仮にそれほどの能力を持っていなくても

「子供だから」

と油断する大人が多いので、子供からすれば与し易い相手です。

そのため、実際のところは簡単に欺かれている人が多いですし、心の内を見抜かれていたりします。

少年犯罪の場合、必要なのは「更正」ではなく「教育」なんですよ。

教育というのは受験勉強の事ではなく、道徳や倫理観、正義感など社会で必要な人間性の事です。

彼らは悪に堕ちたのではなく、善を識らない事がほとんどです。

善性が社会に好ましい事だと知っていても、それが本当に必要だとは思っていない状態ですね。

善を識らない人間に囲まれて育ったら、そうなるのは当たり前です。

なんか知らんですが人間性って軽視されるんですよね。

大人の目を欺くために、見た目だけの人間性を覚える子供は多いです。

だからまず、それらを見抜けないと教育にはならないわけです。

魅力の無い人間に道徳を説かれても…マトモに聞く子供なんていやしないんですよ。

3 教える側の魅力

例えば、学校の校長は子供からすれば…つまらないオッサンです。

話を聞く価値も無いわけです。

逆にどんなにクズだったとしても、半グレを束ねる悪党のカリスマだったら話を聞こうとします。

子供や若者の判断基準は、ヒエラルキーと魅力ですからね。

人間性が育っていないうちは獣に近いので、人の分かりやすい価値を重視します。

集団のヒエラルキーが高い人物、面白い人物、迫力のある人物、知名度が高い人物などなど。

若者が人生相談をするなら、教育のプロよりも有名youtuberにしたがるものです。

スティーブ・ジョブズがピザ屋のバイトだったら、同じ能力を持っていたとしても誰も見向きはしません。

自衛官も似たようなもので…

弱そうなオッサンの話は誰も聞かないし、強そうな人やスペックが高い人の話は真剣に聞きます。

教える側の魅力は死ぬほど重要なわけです。

だから、善を識る大人がいても魅力が無ければ伝わらない。

そもそも、利己的な人間が増えつつある世の中では…善を識る大人自体も少ないのかもしれません。

少年犯罪を起こした人は再犯も多いんですよ。

女子高生コンクリート事件の犯人達は4人中3人が再犯で捕まり、一人は殺人を犯しています。

世の中には絶対悪もいるし、悪性に傾いて取り返しのつかない人間もいます。

そういう人間を社会に戻すのは悪影響しかありません。

一方で、単純に更正を担当する側の問題もあると思っています。

少年院で知らないジーさんの説法を聞いたところで、改心する人間がいるとは思えませんから。

現状、意味もなく若者が殺人を行ったり、女子高生が遊び半分で痴漢の冤罪をかけたりする世の中です。

また、私利私欲に走る大人の下で育った子供は、大人になったら私利私欲に走ります。

人間性が劣化した社会は衰退していく…これは歴史が証明している事です。

だから…世の中に一人でも多く、子供の助けとなる大人が増えて欲しい。

これは、そういう願いを込めた記事です。

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