人が動く理由

哲学系記事
スポンサーリンク

例えば、朝にプロテインを飲む習慣を人に勧める時

「朝にプロテインを飲みましょう」

と言われても飲む人はあまりいないでしょう。

「たんぱく質の不足による体の衰えを防いで健康になるためです」

と付け加えたら飲む人は多くなると思います。

ただ、まだまだ納得しない人は多いです。

「睡眠時に体内のたんぱく質を消費してしまうため、起床時は枯渇した状態になります」

とまで言えば飲む人はさらに増えるでしょう。

ただ、私はこれでも飲まないんですよ。

「たんぱく質を素早く補給するためには消化の良い食事が必要ですが、プロテインなら安定して手軽に補給出来ます」

まで言われたら初めて考えます。

人が動くには納得するだけの理由が必要になる。

今回は、そんな話です。

物事への熟知

営業やプレゼンを経験した人にとっては当たり前過ぎて欠伸が出る話ですが…

人を動かす時は自分がその物事について熟知していないと話になりません。

例えば、

「自衛隊は楽しいから入ろう」

と言った所で入隊する人はまずいません。

相手からすれば、実際にどんな生活をして、どんな訓練をして、どれだけ給料が貰えて、どれだけ休みがあるかを知りたいものです。

私が自衛隊広報官をやっていた時は

●自衛隊に入ったら彼氏彼女が出来るか?

●居住場所でゲームが出来るか?

●実家にはどれぐらい帰れるか?

という質問も多かったですね。

また、自衛隊は陸海空合わせて数十種類の職種があって、業務内容が全然違います。

当然ながら職種に関する質問もあるわけで、その知識が無いと説明出来ない。

だから、覚える事も多いので勉強が必要になります。

勉強しなくても広報官としてやっていく事は出来ますが、めちゃくちゃ差が出ます。

交渉の場で生半可な知識を披露すると、大抵は不信感しか持たれませんからね。

他人から勧められた物事が全く知らない訳ではない場合、人はまずデメリットを知りたがります。

電子レンジを買う時は、機能よりもまず価格が気になるものです。

やっぱり自衛隊も同じで、入隊する事のデメリットを知りたがる人が多いんですよ。

デメリットをただそのまま伝えると…入隊する人は激減します(笑)

かといって、デメリットで嘘をついたら結構なリスクになります。

最悪、入隊者の親が怒鳴り込んで来て訴訟になりますからね。

だから、正しくデメリットを伝えた上で、正しく誤解を解く必要があるんですよ。

例えば

「共同生活だからプライベートが無い」

これは大抵の人が嫌がるデメリットですね。

ただ、自衛隊に入る人は陽キャより陰キャの方が多いんですよ。

にもかかわらず、9割以上の人が2年、4年…10年と自衛隊生活を続けられる。

それはなぜか?

まず、自由時間はそれぞれが好き勝手な事をして自分の世界に閉じ込もっている事が挙げられます。

無駄に関わったりはしないんですよ。

だから、精神的にはプライベートが確保されているので、クソ嫌な奴がいない限りは苦にならない。

クソ嫌な奴がいたら喧嘩すれば良いし、出来なくても時間が勝手に解決します。

次に、同じ場所で長く暮らしているほど、他の隊員が兄弟みたいな感覚になる。

ゲームやスポーツをしたかったり、カラオケとか焼き肉に行きたかったら気軽に誘える相手が近くにいる。

これはスゲー快適なんですよ。

長くいるほど共同生活が快適になっていって、むしろ離れたくなくなる。

正直、私も1人暮らしを始めた時は寂しくなりました(笑)

この話をすると「共同生活も悪くない」と考える人が多かったです。

熟知をしないと深い話が出来ず、デメリットをただデメリットとして伝えてしまう。

メリットがあっても、自分がそのメリットに気がつかない。

「熟知」とは、詳細かつ十分に知っている事です。

それはただ情報を得るだけでなく…

深く掘り下げて考える事で詳細を知り、熟知になっていきます。

インプットするだけなら、スマホで調べながら話しても同じ事です。

熟知が出来ていない物事で人を動かす事は難しい。

基本中の基本ですね。

めんどくさがり屋とリスクヘッジ

リスクヘッジとは、リスクを把握してトラブルが起きないように事前に対策する事です。

しかし、そもそもリスクを伝える事がスゲー難しいんですよ。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

という記事にも関係ある事ですが、話を聞いただけでリスクを把握出来る人って少ないんですよね。

自分がトラブルを経験するまで現実感が無く、リスクを「めんどくさい」で片付けてしまう人も多い。

まあ、私生活なら別に構わないと思いますが、組織の場合はダメージが重くなります。

私が関わっている会社の一つに

「コロナ禍では警備需要が激減するから、感染症予防講習をしたという実績と予防対策が出来る警備員が必要になる」

と考えて、自腹でいくつかの講習を受け、資料をまとめてから提案しました。

似たような事を考えて組織に提案した人は多いと思います。

私の場合は…

「今までそんなものが必要だった事はない」

と一蹴されました。

しかし…結局仕事は激減しましたし、仕事が来ても感染症予防対策が出来る人が条件でした。

クソが。

ただ、この時は私も失敗をしていて、相手は話せば理解するタイプだと考えていたんですよ。

実際にはシンプルにめんどくさがり屋だったんですよね。

めんどくさがり屋は利益と恐怖が無いと動かせません。

「この提案を上にして成功したらスゲー手柄になりますよ」

みたいに利益をちらつかせたり

「では、直接上に提案します」

とか、不安を煽る必要があった。

あと、わりと有効なのが

「貸せ、俺がやる!」

と相手に主体性を持たせる事です。

あえて未完成な提案を持っていって相手に相談します。

簡単に答えを出せる事なら気分良く乗ってくる人が多いです。

そして、自分が完成させた提案は発表したくなるものです。

そうすると、めんどくさがり屋でも動くんですよ。

スゲー時間がかかるから毎回毎回はやってられないですが、重要な時はオススメです。

リスクヘッジは手柄を求めてやるものではなく、自分や組織がめんどくさくならない為に行うものです。

それが出来るなら手柄なんて他人に譲ってやれば良い。

手柄は人が動く理由になるからです。

逆に、自分が手柄に固執すると他人を動かせなくなります。

端から見ると痛い行動に見えるからです。

何かをプラスに変える行動なら手柄を誇っても良いと思いますが、マイナスを防ぐ行動って基本的に手柄を求めてはいけないんですよ。

個人的に、その方がカッコイイと思っているのもありますけどね(笑)

荒っぽい人と敬意

普通だったら一般常識や社会通念を守るものです。

ただ、それが通じない人もいます。

荒っぽい人達は上から目線だと反発するし、下から目線だと見下されます。

形式上の上下関係はあって表向きには従いますが、そんなものは最悪どうでも良いと思っていたりするんですよね。 

だから、自衛隊でも上司や先輩と平気で喧嘩する人が多いです。

荒っぽい人達を従えるには人として相当な力を持っている必要があって、それは難易度が高いです。

その変わり、相手と対等のマインドを持っていると上手くいきます。

自分が目上だとか、相手が目上だからという常識的な感じで接すると失敗するんですよ。

荒っぽい人達は見下していたり、気後れしている雰囲気を敏感に感じ取ります。

見下していたら何を言っても反発するし、気後れしていたら対等に話が出来ない。

相手を恐れるあまりにマウントを取ろうなんてしたら、殺気立ちます。

相手が下手に出ているのは処世術で、いつでも殴り合う準備は出来ています。

それを頭に入れて接しないと痛い目に合う。

私も新人警察官だった時は失敗してスゲー怖い思いをしました(笑)

荒っぽい人達は人の雰囲気…特に自信と度胸を見てきます。

オーラって言い方をする人もいますね。

そして、自分に対して一定の敬意があるかどうかも見てきます。

見下さず下手に出ず、対等な立場から敬意を持って話し合う。

ややこしいですが、これが必要なんですよ。

それが出来ていれば普通に協力も交渉も出来ます。

ただ、この対応は大抵の人にも通じる事なんですよ。

普通の人は荒っぽい人達みたいに目立って反抗はしてきませんが、不満や恨みは蓄積していきます。

どんな人でも負の感情が強くなり過ぎると、協力や交渉が難しくなってしまうからシンプルに不利益です。

荒っぽい人への対応は普通の人より慎重さが求められるだけで、本来なら望ましい人との接し方でもありますね。

敬意というものは言葉や行動では偽れないもので、雰囲気として表れます。

人に気に入られようとしても敬意は持てず、相手を認められないとまず無理です。

基本的に相手を肯定出来ないと持てないものなんですよ。

言葉での肯定は社交辞令的に捉えられやすいですが、敬意という雰囲気による肯定はめちゃくちゃ信用されます。

人は自分に対して確度の高い肯定をしてくる人を無下には出来ないものです。

それが対等な立場からなら尚更です。

相手からの敬意は、それだけでも動く理由になるんですよ。

コメント

Copied title and URL