最近、防災やテロ関係の仕事をして改めて必要だと思ったのが今回の記事です。
GO BAGとは「非常用持ち出し袋」の事です。
語源は、イギリス軍の兵士が車両が破損した際に持ち出す袋から来ています。
これは軍隊で行われているように、一般社会でも極めて有効な手段です、
災害、ミサイル攻撃、侵略、テロ、内乱などなど、いざという時のために素早く逃げて、かつ逃げた先で生き残るための備えですね。
一例として、今回は私のGO BAGに関する考え方の話をします。
想定するケースは4つあり、難しい状況ほど必要な準備は増えていきます。
●想定1:短期間の避難所生活
●想定2:長期間の避難所生活
●想定3:公助に頼らない自力での生存
の3つに分けて話します。
今回は、想定1と想定2までです。
短期間の避難所生活
洪水や土砂崩れなどの災害によって、数日から1週間くらい避難する事を想定した準備です。
●水
普段は当たり前にある水ですが、災害時は本当に水が足りなくなります。
地震などで水道管は簡単に破損するため、東日本震災や北海道地震では自衛隊が地域や避難所への給水活動に当たっていました。
災害時に稼働する店舗は少なく、店舗の商品もすぐに無くなります。
東日本震災を現地で経験した人の話によると、小規模ながら水をはじめとした物資の取り合いもあったそうです。
豊富にあるにも関わらず、災害で一気に無くなるのが「水」というわけです。
特に、国の機関の助けが来るまでの数日間は飲料水が足りなくなります。
常備水として2リットル分くらいは用意しておいた方が安心です。
保存食

水ほど優先度は高くないですが、食料も重要です。
避難場所に指定されている場所には防災倉庫があって、飲料水や非常食が備蓄されています。
ただ、数に限りがあるため充分な量が支給されるとは限りませんし、被災してすぐは混乱を極めるので食料の配給が行われない可能性もあります。
また、備蓄が無くなる前に公共機関の支援が来るとも限りません。
そのため、最初から自前で2~3日分の保存食を準備しています。
保存食には数多くの種類がありますが、私は井村屋の「えいようかん」を備えています。
片手でサクッと食べられて主食としてだけでなく補食にも出来るからです。
マスク

東日本震災の災害派遣に出動した時、私達の頭を悩ませたのが頭痛や吐き気でした。
この原因は汚水を含んだ土壌の粉塵によるもので、個人的には放射能よりもこっちの方が厄介でした。
医療用のサージカルマスクが支給されるまで頭痛は収まらなかったので、マスクの大切さを痛感しましたね。
水と食料は大抵の人が思いつくものですが、空気に着目する人は「分かってる人だな」と思います。
ただ、マスクと言っても普通のマスクではあまり効果がなく、口周りに隙間が生まれない構造で、粉塵を防ぐ性能がある必要があります。
私は、フィルターの替えがきく粉塵マスクを用意しています。
筆記用具

被災時は電話やメールが使えない事も多く、ネット自体が繋がらない可能性もあり、スマホの充電が出来るとも限りない。
避難場所や食料の配給場所などの記録、伝言や位置情報などを伝えるためにメモ帳と筆記用具を用意しています。
私の場合は長く厳しい状況を想定しているので
・水に濡れても平気な耐水紙のメモ帳
・半永久的に使えて雨の中でも書ける金属エンピツ
・地図に記録するためのマジックペン
を用意しています。
自宅周辺の地図

実際に被災した時、避難場所や行き方を覚えているとは限らず、スマホで情報収集が出来るかもわからない。
あらかじめ地図を用意しておいて、自宅の場所、近くにある避難場所のいくつかをマーカーで印をつけています。
また、情報が制限された状況下で地図は非常に有用で、通れない道や倒壊した建物、危険な地域などを記録しておくと自分だけでなく他の人の役にも立ちます。
そもそもの話、避難所に辿り着けないと生存の難易度が跳ね上がるので、リスクヘッジとしても地図は必要ですね。
ライト

災害と同時に停電も起こる可能性が高く、夜間の場合は真っ暗闇になります。
その中で避難所に辿り着くのは相当難しく、地割れなどに気付かず転落するかもしれません。
また、避難所内も暗い可能性があるため、とにかくライトは必要になってきます。
個人的に、その辺で売ってる懐中電灯は光量が弱く頼りないのと、軍や警察で使われれる強力なフラッシュライトは123A電池が手に入りにくいので無理に揃える必要はありません。
そのため、私は最低条件として
・単三電池が使える事
・明るさが100ルーメン以上ある事
を基準に考えています。
個人的なオススメはGENTOSの閃シリーズです。
また、写真左のライトは光量が少なめで光の色を変えられるライトで、あまり目立たずにライトを使う事が出来ます。
元々は軍隊で敵に見つからないように地図を見たりするためのライトです。
物を探す時は周りに迷惑をかけなくて済むので、あると便利です。
緊急用ホイッスル

野外活動などをしない人はあまり馴染みが無いかもしれませんが、ホイッスルはあると安心です。
例えば、遠くにいる人に自分の位置を知らせる時に大声を出すと数分で声が枯れます。
助けを呼ぶ時は長時間呼び続ける事が多く、音による救難信号はホイッスル以外ではなかなか難しい。
また、防犯などの目的としてもホイッスルの警告音はなかなか効果的です。
常備品として考えると、電子式はいざという時に電池が切れたり故障もあるので、なるべくシンプルで音が大きい物が理想的です。
最近、仕事で知ったんですが、「FOX40」というメーカーのホイッスルがオススメです。
吹くのに少し力が入りますが、バカデカイ音がでます。
余談ですが、ライトでも自分の位置を伝える事が出来ます。
ただ、日中は太陽光が強くて目立たないので、コンパクトの鏡なども容易しておくと尚良いです。
サバイバルグッズにあるシグナルミラーがベストですが、ナイフの刃や手鏡でも十分使えます。
貴重品入れ

大昔から災害時には、避難する人をよそに盗みを働く火事場泥棒が存在します。
家にある通帳やパスポートなど、貴重品をまとめて保管するのは防犯的には良くないんですが、防災的にはGO BAGの中に入っていた方が良い。
また、避難所内でも盗難は普通にあります。
そのため、折衷案として小型で薄い金庫をGO BAG内に入れています。
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以上が想定1の荷物です。
当然ながら厳しい環境を想定して万全の準備をするほど、荷物は多くなり重くなります。
災害時は安全な場所まで悪路を歩く必要があり、荷物が重すぎると行動に支障を来します。
想定1は女性や高齢者が持ち運べる程度に考えています。
長期間の避難所生活
東日本震災のように大規模な災害や侵略など、長期間の避難を必要とした場合の備えです。
想定1の荷物にプラスするものと考えて下さい。
軍用ポンチョ

軍隊などでもよく使われるポンチョ型のレインコートです。
これはアウトドアやサバイバルで非常に便利なもので、様々な用途に使えます。
通常のレインウェアと違ってリュックごと被る事が出来るし、頭からスポッと被るだけなので着脱も容易です。
ポンチョ自体が風を防ぐし、ポンチョの中で空き缶などを利用した小さな火を焚くとスゲー暖かい。
広げて屋根にしたり地面に敷くシートにしたりも出来る。
自衛官だとポンチョにくるまって地べたで仮眠をとったりもします。
また、避難所でよくある問題がトイレで、大勢がトイレを使うからスゲー汚くなるし、トイレが故障している場合も多い。
ポンチョを目隠しにして、その辺の草むらで用を足すという事も出来るわけです。
マットと寝袋


避難所は大勢の人が集まるため、基本的に整った寝床が確保出来ず固い床の上で寝る事になります。
支給される毛布にも限りがあり、せいぜい1~2枚か最悪の場合は支給されない事もあります。
体育館などの固く冷たい床の上で十分に寝られる人はあまりいないので、コンパクトに収まる寝袋や下に敷くマットを準備する事をオススメします。
写真の寝袋はスナグパックのジャングルブランケットという物です。
寝袋単体で防風と撥水性を備えており、ブランケットとしても使えるから重宝します。
私は背中とケツさえ敷物があれば快適に寝られるので、マットは座布団サイズの折り畳み式を二枚用意しています。
水筒

避難所生活の中で手持ちの水は間違いなく無くなります。
となると、飲料水の確保は自衛隊などの水トレーラーによる支給がメインになると思います。
ただ、入れ物が無いと水を保存する事が出来ない。
空いたペットボトルでも代用できますが、繰り返し使うように作られていないので雑菌が繁殖しやすく耐久性も低いです。
だから、軽量で容量の大きい水筒が便利になってきます。
私は安いうえに2リットルの容量があり、ベルトに通したり肩からかけたり出来るので、なんか米軍っぽい水筒を選びました。
着替え・タオル

自衛隊では緊急時に出動出来るように、隊員1人1人がGO BAGのような物を準備しています。
その入れ組品の中で下着の替えが3日分とタオルが指定されています。
3日分あれば大体なんとかなるんですよね。
防水のためにジップロックに入れ、1日分ずつ小分けにすると便利です。
1日分はTシャツ、パンツ、靴下を入れていて、タオルはバスタオルとフェイスタオルを入れています。
清潔に保つ事は精神にも影響するため、わりと重要な要素です。
アメニティグッズ

アメニティグッズは人によると思いますが、私は歯磨きセットとカミソリを準備しています。
単純に、最低限この2つが無いと不快だからです。
後、追加するとしたらウェットティッシュやデオドラントシートですかね。
他には、スマホの充電器やモバイルバッテリー、後はタコ足用のプラグや延長コードがあると便利です。
かさ張らない程度に収まれば何でも良いと思います。
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想定2は一般的な体力の人を想定しています。
物自体も比較的揃えやすいと思います。
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